紛争/革命/テロリスト関連のオススメ映画12選

現代の世界情勢を特徴づけるものとして、国土領域内で多発する人種・民族・宗教間での紛争問題があげられる。「低強度紛争」や「難治性紛争」と名付けられる近年の内線型紛争。

しかし、その実態を掴むことは非常に難しい。

ここではそうした人種/民族/宗教/経済利益を巡る紛争問題、あるいはテロ問題などに興味を持ち始めた人たちにおすすめしたい映画を厳選。紛争に関する書籍や資料は数多くあるが、映画という映像媒体を通して見えてくる問題もある。こうした映画を見ることで、世界の理不尽な暴力に少しでも関心を向けて欲しいなあ。

 

 

・ウェルカムトゥサラエボ ★★★★★ 4.8/5.0

ウェルカム・トゥ・サラエボ [DVD]

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 <内容紹介>サラエボの戦渦の中で一人の子供を救い出そうとするジャーナリストの姿を、実話をもとに映画化したマイケル・ウィンターボトム監督による感動のドラマ。

民族紛争関連でまず第一に見て欲しいこの映画。

紛争関連の映画にはジャーナリストという第三者からの視点で始まるものが数多くあるが、この作品の主人公はまさしくその他者性を意識しながらもそうした立場から逸脱しようとする。それはある意味ではジャーナリストとしての立場を放棄するものであるが、主人公のそうした姿が映画を観ている側の他者性さえも揺さぶるような作品となっている。民族紛争と子どもたち。そうしたテーマに興味がある人にも是非見て欲しい映画でもある。

 

 

 

・サルバドル ★★★★☆ 3.7/5.0

サルバドル-遥かなる日々-〈特別編〉 [DVD]

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 <内容紹介>仕事にあぶれていたフォト・ジャーナリストのリチャード・ボイル(ジェームズ・ウッズ)は、友人のDJ(ジム・ベルーシ)をたぶらかせて動乱のエル・サルバドルへ潜入し、現地の恋人マリア(エルペディア・カリーロ)と再会。やがて左翼ゲリラ側の取材を続ける中、銃弾にたおれた正義派キャサディ(ジョン・サヴェージ)の遺志を継ぎ、マリアの家族ともども彼が遺したフィルムをアメリカへ持ち帰ろうとするが…。

これぞまさしく社会派ドラマ。
当時のエルサルバドル内戦の残虐さ不条理さ、それを支援するアメリカを見事に描いている。
アフリカやボスニア紛争を描いた作品は多い中で、中南米ラテンアメリカでの恐怖政治や内戦、支援国の姿をカストロ抜きで映した映画は多くない。ラテンアメリカでは共産主義弾圧の目的で、各国から権力者の側に武器や支援が集まり、かなり一方的な弾圧、不均衡な紛争が行われていた。かといって、両者が生きるために過剰な暴力を行っていたことは事実であるが。
だからこそ知ってほしい真実の物語。
ラストのシーンは、権力に翻弄される人間の姿そのもの。強い怒りすら沸いてくる終わり方。
写真家の「真実をつかむには近づくことだ。近すぎると死ぬ」という言葉。アメリカ大使の「右翼は残酷、左翼は冷酷、中道はヤワ」というボヤキは、問題の複雑さを端的に示している。

予告編:http://youtu.be/5e3na-7QZtA

 

 

 

・キリグフィールド ★★★★ 3.8/5.0

キリング・フィールド [HDニューマスター版] Blu-ray

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 <内容紹介>1970年代半ば、内戦に揺らぐカンボジア。台頭したクメール・ルージュの独裁の中、ニューヨークタイムズの特派員シャンバーグと現地人助手プランは生命の危機にさらされ、生き別れに・・・。NYに戻ったシャンバーグはプランの捜索を始めるが、その頃、彼は一切の自由を奪われ、過酷な強制労働に喘いでいた―。カンボジアの惨状、その引き金となった自国の欺瞞を告発し、ピューリッツァー賞を受賞した記者の実体験を迫力ある映像で見事に再現。市街で繰り広げられるテロ行為、目を覆うような恐怖政治・・・あらゆる困難の中でも決して失われることのなかった主人公たちの熱き友情が、ラストに流れるジョン・レノンの「イマジン」と相まって、世界中で大きな感動を呼び、数々の映画賞に輝いた傑作。

20世紀最大の悪夢と言われるポルポト政権による大虐殺。この出来事を圧倒的な映像で描いた古典的な作品がこの映画である。この時代を扱った映画もあまり数がなく資料としても非常に貴重なもの。カンボジアへ行く際にはその時代背景を知るためにぜひ見て欲しい映画ともいえる。

予告編:http://youtu.be/_Z1sj7gzpCk

 

 

 

・ブラッドダイヤモンド ★★★★☆ 4.3/5.0

ブラッド・ダイヤモンド [DVD]

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 <内容紹介>アフリカのシエラレオネ共和国で、3人の男女が運命的な出逢いを果たす。元傭兵のダイヤ密売人アーチャー(ディカプリオ)、反政府軍RUFの襲撃によって家族と引き裂かれたソロモン(フンスー)、そして、紛争ダイヤモンドの真実を暴こうとするジャーナリストのマディー(コネリー)。すべてはソロモンが闇ダイヤの採掘場で大粒のピンク・ダイヤを発見することから始まる。ひとりはそのダイヤの利益で救いのない暗黒大陸から抜け出そうとし、ひとりは引き裂かれた家族を取り戻そうとし、ひとりは真実を記事にするための動かぬ“証拠”を求める。
アフリカ地域紛争で武器調達の資金源として不法取引される“ブラッド・ダイヤモンド”。そのひとつのダイヤに託された、全く異なる3つの願い。アフリカが現在もなお抱える問題を絶大なリアリティで力強く描き、物語は感動的なラストへと向かっていく―。

紛争ダイヤモンドやシエラレオネ内戦の様子を映画として見事に伝えてくれる作品。
ダイヤモンド(資源)を巡って加熱するアフリカ人同士の利権争い。その利益が武器の資金源となり紛争はさらに泥沼化、その悪循環を支えているのが国外でダイヤモンドを求めている我々(消費者)であるという事実。遠い国の信じられない出来事としてではなく、見ている側にも自分達の問題としと驚きとして伝わってくる。
需要は供給を生むが、需要者はその供給背景・ルートをあまり意識してこなかった。近年になってそうした問題が注目されるようになったからこそ、多くの人に見てほしい映画、最低限知っておいてほしい事実といえる。
様々な残虐行為の中での「人の行為を神は赦すだろうか」という言葉。ラストの「紛争ダイヤモンドによる争いを阻止するのは消費者である。」という締め括りかたもメッセージ性があって良かった。

予告編:http://youtu.be/yVE6w1Ah-c8

 

 

 

ホテル・ルワンダ ★★★★★ 4.8/5.0

 <内容紹介>1994年、ルワンダ。この国では長年、フツ族ツチ族が敵対しあっていたが、大統領の暗殺を機に、フツ族民兵によるツチ族の虐殺が始まった。高級ホテル、ミル・コリンの支配人ポールはフツ族だが妻のタチアナはツチ族だった。自分の家族と隣人たちを救うため兵士たちと取引をしたポールはどうにか事なきを得たが、全員ミル・コリンに閉じ込められてしまう。しかし、国連兵士がガードしている海外資本のミル・コリンにはさすがの民兵たちも手が出せなかったため、しだいに助けを求める人々が集まり、難民キャンプのような様相を見せ始めていた。やがてこの状況を収めるはずの国連軍が到着するが、ルワンダ人を助けるのではなく、外国人を国外避難させるのが目的でしかなかった。世界から見捨てられたことを知ったポールは、自ら人々を守ることを決意し、長年ホテルマンとして培った人脈、情報、話術を武器に奮闘しはじめる-。

 確か初めて見た民族紛争に関する映画。この映画は一貫してホテルマンである主人公の視点から語られる。故にルワンダ紛争の全容を俯瞰できるわけではない。しかし、一人の男がこの紛争に自らの立場から立ち向かい多くの人の命を救ったという事実。これは、自分にとって紛争や内戦に対する関心や憤りを芽吹かせるキッカケとなった作品でもある。

予告編:http://youtu.be/q7F0l5BUVyA

 

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マンデラの名もなき看守 ★★★★ 3.9/5.0

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 <内容紹介>あなたに逢って知った。世界は間違いだらけだと-
1968年アパルトヘイト政策下の南アフリカ共和国。刑務所の下士官ジェームズ・グレゴリーは、最悪のテロリストとされるマンデラの担当に抜擢される。マンデラの生まれ故郷の近くで育ったために彼らの言葉が分かるグレゴリーに、秘密の文書や会話を監視し報告しろと言うのだ。任務に忠実なグレゴリーだったが、マンデラという人物に触れ、彼が自由のために払っている犠牲を知るにつれ、次第にマンデラに魅了され、彼が目指す平等な社会に憧れていく。しかし、そんな想いが周囲に知られれば、自分の立場も妻子の安全さえも脅かされる。
家族、国、仕事、理想、良心・・・葛藤の中、それでも正しい歴史の一部でありたいと願ったある看守とマンデラの数十年間にも渡る魂の交流を描く、感動の実話を映画化した話題作。

大統領になった後のマンデラの活躍を描いた映画はたくさんある。しかし、この映画は反逆罪として投獄されたマンデラとその看守であったグレゴリーの手記をもとに映画化されたあまり知られていない貴重な物語。

南アフリカにおけるアパルトヘイト撤廃後の民族和解が進んだ背景にはマンデラというカリスマ的指導者の影響が大きい。そして、その人格と評価を作り出したとも言える27年間の獄中生活というものは非常に興味深い。南アフリカ/マンデラ/民族和解に興味がある人には必須といえる映画。

予告編:http://youtu.be/NalpHp0IleY

 

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・ロードオブウォー ★★★★ 3.8/5.0

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 <内容紹介>ウクライナから移民としてアメリカへ渡り、武器の密輸商人となったユーリーがたどる衝撃の運命。ユーリーのキャラクター像や、エピソードの数々は、実在の武器商人の証言を基に作られている。ソ連の崩壊により、余った武器を、アフリカの独裁国家などに横流しするユーリーを、インターポールの刑事ジャックが追跡。そこに、ユーリーの妻や弟との悲痛なドラマが絡んでいく。

世界の紛争地を飛び回り争いを激化させる武器商人の実態に迫った映画。 実在する武器商人たちを徹底的にリサーチしたというだけあって、争いの時代の裏側がしっかりと描かれている。
争いが武器を呼ぶのか。
武器が争いを呼ぶのか。
ホントにこの問題は答えが見つからない。
命を守る武器も命を奪う武器も結局は同じもので簡単に捨てろとは言えないもの。 けれどもやっぱり、武器が無くならなければ現代の紛争は収まらないんだろうと実感させられる。

予告編:http://youtu.be/nfWSPEFL8cE

 

 

 

・マイバックページ ★★★★ 4.1/5.0

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 <内容紹介>1969年。理想に燃えながら新聞社で週刊誌編集記者として働く沢田(妻夫木 聡)。彼は激動する“今”と葛藤しながら、日々活動家たちを追いかけていた。それから2年、取材を続ける沢田は、先輩記者・中平とともに梅山(松山ケンイチ)と名乗る男からの接触を受ける・・・・・・。
「銃を奪取し武器を揃えて、われわれは4月に行動を起こす」
沢田は、その男に疑念を抱きながらも、不思議な親近感を覚え、魅かれていく。そして、事件は起きた。「駐屯地で自衛官殺害」のニュースが沢田のもとに届くのだった――。

1970年代前後の雰囲気がリアルに伝わってくる映画。 理想に燃える新人記者と口だけは大物な自称活動家の出会いから始まる物語。
両者を通して、人間の残念な部分みたいなのを存分に見せつけられた気分になった。 特にこの自称活動家の片桐(梅山)の姿は強烈。 革命を叫びながらも、自分は動かず危なくなれば全てを他人のせいにする。 思想も信念も覚悟ない目立ちたがり屋で自己陶酔に陥っている、偽者の中の偽者。 そんな梅山に疑いを持ちながらも、結局最後までついていってしまい身を滅ぼしかけた新人記者の沢田。
見ていて不快としか言いようがないのだけれど、何故かこの残念な部分を見下しきれない、身近なもののように感じてしまう自分がいる。 2人の演技も素晴らしいし、意外と見てほしい邦画の1つ。
日本の若者が団結して、本気で権力に立ち向かおうと、日本を変えようとした熱い時代。 そういう時代をリアルタイムで体験していない、自分のような世代の人には一見の価値あり。
終わったあとの虚無感というか物足りなさ、モヤモヤ感はハンパないですが。

予告編:http://youtu.be/yRmFoYR0vYg

 

 

 

・最後の革命家の物語 ★★★ 3.2/5.0

REVOLUTION 最後の革命家の物語 [DVD]

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 <内容紹介>R-28刑務所に配属された理想主義者の軍人・ジョーは、収監された戦犯・ソーンの思想に惹かれ、友情を築く。ソーンはジョーを残忍なクーデターへと導き…。 収監された戦犯、そして監視する軍人が狂った国家を相手にクーデターを起こし、そして追い詰められていく――狂気と陰謀を描いた、重厚サスペンス!!

前半は今一と思いながらも後半はなかなか。
革命が独裁政治に陥る典型的パターン。 「無関係な人など存在しない」というのはテロリストの共通言語なのだろう。趣向は違うけどテロリズムにおける一定のパターンを描いていたように感じたものとしてファイト・クラブ [DVD]もオススメ。

 

 

 

・光州5.18 ★★★ 3.3/5.0

光州5.18 [DVD]

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 <内容紹介>韓国最大のタブーとされた“光州事件”の衝撃と、巻き添えになった人々の悲劇を衝撃的に描いた問題作!1980年、韓国・光州市。タクシー運転手の青年・ミヌは、両親を早くに亡くし、高校生の弟・ジヌの親代わりとなって懸命に面倒を見てきた。そんなミヌは想いを寄せていた看護師のシネ、ジヌを交えた3人で映画を観に行くことに。そして、映画館の外で学生の民主化デモ隊と戒厳軍の衝突が勃発。3人も巻き込まれてしまい…。 

1980年5月の韓国で起こった光州事件を描いた社会派映画。
普通に暮らしていただけの市民を暴徒として弾圧する、あまりにも不条理な現実。 それに対抗するために銃を持ち始め、軍隊と民間 人の武力闘争にまで発展していく様子が描かれて いる。
ラストの「俺は暴徒じゃない!!」という叫びは 、まさにこの映画の主題。 ただ、もう少し脇にそれずに作って欲しかったか も。

予告編:http://youtu.be/GEppEkeFK-0

 

 

 

・ザイースト ★★★ 3.4/5.0

 <内容紹介>環境汚染や健康被害をもたらす大企業に制裁を下す環境テロリスト集団<イースト>。テロから企業を守る諜報会社に雇われた元FBIエージェントのジェーンは、組織への潜入捜査を命じられる。サラと名前を偽り、潜入することに成功した彼女だったが、企業の偽装や隠ぺいと被害者の悲痛な実態を知るうちに、彼らの信念に共感を抱き始める。<イースト>最大のテロ実行が迫る中、葛藤する彼女が下した決断とは――?

健康被害や環境汚染を促す企業を標的にする環境テロリスト集団へ、スパイとして潜入した女性捜査官の葛藤。 これからきっとこういう分野の映画が増えてくるんだろうな。 被害者がテロリストとして加害者に、加害者の家族が罪悪感を覚えてテロリストへ。
簡単には線引きできないこの問題。
興味があるなら是非一度は見てほしい映画。
利益を追及した社会に襲いかかるテロという暴力。
結局、未だにこういう方法でしか社会は変わらないのだろうか。

予告編:http://youtu.be/ZzlLKJvI9bg

 

 

 

パラダイス・ナウ ★★★ 3.5/5.0

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 <内容紹介>自爆攻撃へ向かう、二人の若者の48時間。実際の銃撃戦のさなか撮影された全身震撼のエンターテインメント作品!!!時折ロケット爆弾が飛んでくるイスラエル占領地のヨルダン川西岸地区。自爆攻撃に選ばれた幼なじみの二人の若者、サイード(カイス・ネシフ)とハーレド(アリ・スリマン)。ハーレドは殉教することによって英雄となることを喜び、サイードは密告者の息子という汚名を晴らす為、静かにそれを受け入れた。しかし、サイードにはお互いに心惹かれあう女性と自爆攻撃を決して喜ばない母がいた。やがて決行の日、二人は髪とひげを剃り、腹には外すと爆発する爆弾が巻かれた。決行の場所へと向かう二人。しかしその途中、思わぬアクシデントが二人を離れ離れにしてしまう・・・。 

驚くほどリアル。正直ここまでリアリティを感じられる映画を見たことがないかもしれない。ある人間が自爆テロを行うまでに至る過程が非常に丁寧に描かれている。テロなどに関して、「なぜ」と一度は疑問に感じた人ならば、見ることをお勧めする。

予告編:http://youtu.be/peMaGprkxy8

 

 

 

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