大型連休にじっくり読みたいオススメ小説11選

大型連休には気になっていた小説などをゆっくり消化したいもの。貯まっていた本や読み返したかった本に、ゆっくりじっくり浸りきれるなんて考えただけで至福の時ではないか。そんなことを考えながらオススメ小説をまとめていたら、ワクワクして少しまとまりのないものに仕上がってしまった。
お家でじっくり楽しむのもよし、移動中のお供に連れていくのもよし、旅行先で読むのもよし。そんな小説たちを厳選してみました。

 
太陽の塔

太陽の塔

太陽の塔

<内容紹介>京大5回生の森本は「研究」と称して自分を振った女の子の後を日々つけ回していた。男臭い妄想の世界にどっぷりとつかった彼は、カップルを憎悪する女っ気のない友人たちとクリスマス打倒を目指しておかしな計画を立てるのだが…。 何かしらの点で彼らは根本的に間違っている。なぜなら私が間違っているはずがないからだ、と宣う、ひねくれた学生の夢想を描く。膨らみきった妄想が京都の街を飛び跳ねる! 第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

これぞまさしく森見ワールド全開な作品。
クセになる言い回しと読者を置いてきぼりにする完全一方通行な主人公。ご存知、「夜は短し歩けよ乙女」の作者森見登美彦氏のデビュー作である。文章が合わない人にはほんとに合わない。しかし、合ってしまえばその日の内に全ての作品を読みたくなる。今年放送されたアニメ版「有頂天家族」も最高に笑えて泣けた名作であったし。とにかく一度、この人の作品は読んでみてほしい。よくこんな話を勢いのある文章でかけるなーと感服してしまう。

ちなみに、森見さんがまとめた太宰治集もなかなかのオススメ:奇想と微笑―太宰治傑作選 (光文社文庫)。これは太宰治の暗い部分でなくユーモラスな短編がこれでもかと集められている特選集なのだ。

 

 

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

<内容紹介>その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは序々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日―。子供という絶望の季節を生き延びようとあがく魂を描く、直木賞作家の初期傑作。

「生きるための実弾」を求めるなぎさと「砂糖菓子の弾丸」を撃ちまくる藻屑。

桜庭一樹という人物は本当に言葉の使い方というか作り方、対比の仕方が上手く美しい。思春期の頃、誰もが抱いていた一刻も早く大人の庇護から逃れたいという焦りとその手段がないという絶望感。子どもの頃感じた大人たちへの無力感と閉塞感をこの作品は見事に表している。

 

 

・デッドエンドの思い出 (文春文庫)

デッドエンドの思い出 (文春文庫)

デッドエンドの思い出 (文春文庫)

<内容紹介>人の心の中にはどれだけの宝が眠っているのだろうか-。時が流れても忘れえぬ、かけがえのない一瞬を鮮やかに描いた傑作短編集。書き下ろし4編に「ともちゃんの幸せ」を加えた5つのラブストーリーを収録。

ラブストーリーの中でもかなり好きな短編集。
著者のよしもとばなな自身も、「これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好き」と太鼓判を押すほど。それぞれの話は違うのに、すべてを読み上げた時の見事な一体感は何とも言えない満足感を生み出すんだ。この人の小説は好きだけど、この本を読んでさらに好きになった。ホッコリしたいときに是非オススメ。

 

 

・わたくし率 イン 歯ー、または世界

わたくし率 イン 歯ー、または世界

わたくし率 イン 歯ー、または世界

<内容紹介>人はいったい体のどこで考えているのか。それは脳、ではなく歯―人並みはずれて健康な奥歯、であると決めた“わたし”は、歯科助手に転職し、恋人の青木を想い、まだ見ぬ我が子にむけ日記を綴る。哲学的テーマをリズミカルな独創的文体で描き、芥川賞候補となった表題作ほか一編を収録。著者初の小説集。

これまた、文体重視の合わない人にはホントに合わない作品かも。けれども、かなーり批判されてたから恐る恐る読んだ時のあの衝撃は忘れられないんだ。川上未映子作品の中では、この作品がやはり一番突き抜けてる。リズムを楽しみながら読み進めたい本ってあんまりない。そんな体験をしたい人にもオススメ。

 

 

メルヒェン

メルヒェン (新潮文庫)

メルヒェン (新潮文庫)

<内容紹介>
おとなの心に純粋な子供の魂を呼びもどし、清らかな感動へと誘うヘッセの創作童話集。「アウグスツス」「アヤメ」など全9編を収録。

自分が最も好きな詩人であり作家でもあるヘルマン・ヘッセ。有名なのは「車輪の下」や「デミアン」だけど、この短編集も隠れた名作。世界の美しさを真髄に追い求めて表そうと試みた、まさに詩人らしい短編小説の数々。ヘッセの本は出来れば高橋健二さんの訳を読むことをおすすめします。

 

 

・神さまの話

神さまの話 (新潮文庫)

神さまの話 (新潮文庫)

<内容紹介>神さまの手の話、貧しい人々の話、指貫の話、芸術家の話…。2ヶ月にわたるロシア旅行を通じて、敬虔で素朴な民衆の姿に感動した若きリルケ。彼はその後“神さま”という一本の糸で貫かれた13の珠玉から成る短編集を7晩で一気に書きあげた。子供のための話を大人に話して聞かせるスタイルを取り、それぞれの話が淡いパステル画を思わせ、まるでおとぎ話のように静かに語られる。

もしこの本、この作者であるリルケを気に入ったのなら若き詩人への手紙・若き女性への手紙 (新潮文庫)という本を読んで欲しい。そんな、リルケの布石となる物語。



・沈黙

沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)

<内容紹介>島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。

恐ろしく暗く重く濃厚な物語である故に、せっかくの大型連休に読むべき本ではないかもしれない。けれども、この一年を振り返ってその暴力的な出来事の多さを目の辺りにすると、特定の宗教を信仰してはいない自分でも、この「なぜ神は沈黙し続けるのか」という問い掛けには思い悩まされる。そして、なぜそれでもなお人は信じ続けるのかという点を。この本はその明確な答えを与えてくれるものではない。しかし、その問い掛けを与えてくれるある物語。

信仰に関しての物語はトルストイ光あるうち光の中を歩め (新潮文庫)もオススメ。

 

 

バーティミアス-サマルカンドの秘宝

バーティミアス-サマルカンドの秘宝

バーティミアス-サマルカンドの秘宝

<内容紹介>舞台は、魔法使いたちが支配する、現代のロンドン。魔法修業中の少年ナサニエルは、泣き虫だけど、負けず嫌いな12歳。少年は、ベテランの妖霊バーティミアスを呼び出した。目的は、邪悪なエリート魔法使いサイモンに復讐をするため、〈サマルカンドの秘宝〉を、盗み出すということ。はたして、ヒヨッコ魔法使いのナサニエルとちょっとまぬけなバーティミアスのコンビは、〈秘宝〉を手に入れ、強敵サイモンをやっつけることができるのか?今まで誰も体験したことのない、子どもから大人まで夢中になれる新しい世界。

めちゃくちゃ面白いのに、何故かあまり有名にならない。ハリポタとかパーシィー並に人気が出てもいいと思うのだけど。映画化される予定で楽しみにしてたんだけど、結局保留されたままのファンタジー小説シリーズ。多くの人に是非読んで欲しい!!そして、はやく映画化に乗り出して欲しい。笑

 

 

村上春樹伊坂幸太郎東野圭吾
この三人は多くの人が認めるまさしく現代の王道的な小説家たち。ということで、これから読む人のために、最初はこれから読み始めたらどうかなーっていう三作品。

 

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

<内容紹介>高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。

しかし、ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編も捨てがたい!!
が、やはりまずはノルウェイの森 上 (講談社文庫)からかしら。

 

・オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

<内容紹介>コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島"には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?

しかし、終末のフール (集英社文庫)も捨てがたい

砂漠 (新潮文庫)もいいのだよなー

 

・秘密

秘密

秘密

<内容紹介>妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇

しかし、片想いも捨てがたい!!
が、時生 (講談社文庫)の方がサクっと読めるかも。