おすすめ映画選

『M』:フリッツ・ラング監督が生み出したサイコスリラーの元祖。

1920年代、ドイツを震撼させた連続殺人鬼“デュッセルドルフの吸血鬼”ことペーター・キュルテンに材を採ったフリッツ・ラング初のトーキー作品で、光と影を効果的に使い、犯人の恐怖感や民衆の狂気を巧みに描き出している秀作。幼い少女が次々と惨殺される事…

『沈黙』:スコセッシ監督が30年近い年月を費やした悲願の作品

17世紀、江戸初期。幕府による激しいキリシタン弾圧下の長崎。日本で捕えられ棄教したとされる高名な宣教師フェレイラを追い、弟子のロドリゴとガルペは日本人キチジローの手引きでマカオから長崎へと潜入する。日本にたどりついた彼らは想像を絶する光景に…

『アイリッシュマン』:マフィア映画へのレクイエム

全米トラック運転組合のリーダー:ジミー・ホッファの失踪、殺人に関与した容疑をかけられた実在の凄腕ヒットマン:フランク“The Irishman”・シーランの半生を描いた物語。全米トラック運転手組合「チームスター」のリーダー、ジミー・ホッファの不審な失踪と…

『まぼろしの市街戦』:現実を生きる狂気と妄想を生きる狂気

第一次大戦末期、敗走中のドイツ軍は占拠したフランスの小さな街に大型時限爆弾を仕掛けて撤退。イギリス軍の通信兵は爆弾解除を命じられ街に潜入するも、住民が逃げ去った跡には精神科病院から解放された患者とサーカスの動物たちが解放の喜びに浸り、ユー…

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』:被害者への敬意ある映画表現

リック・ダルトンは人気のピークを過ぎたTV俳優。映画スター転身の道を目指し焦る日々が続いていた。そんなリックを支えるクリフ・ブースは彼に雇われた付き人でスタントマン、そして親友でもある。目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くこ…

『凪待ち』:タイトルに込められた復興への想い

毎日をふらふらと無為に過ごしていた郁男は、恋人の亜弓とその娘・美波と共に彼女の故郷、石巻で再出発しようとする。少しずつ平穏を取り戻しつつあるかのように見えた暮らしだったが、小さな綻びが積み重なり、やがて取り返しのつかないことが起きてしまう―…

『マローボーン家の掟』:重層的に仕掛けられたトリックホラー

海沿いの森の中にひっそりとたたずむ大きな屋敷。そこに暮らすマロ―ボーン家の4人兄妹は、不思議な"5つの掟"に従いながら、世間の目を逃れるように生きていた。忌まわしい過去を振り切り、この屋敷で再出発を図る彼らだったが、心優しい母親が病死し、凶悪…

『天気の子』:誰かの祈りで空が晴れる世界

高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、雑踏ひしめく都会の片…

『僕のワンダフル・ジャーニー』:ペットロスで苦しむ人達へ送られた物語

50年で3回も生まれ変わり、最愛の飼い主イーサンとの再会を果たした犬のベイリー。続編となる今作でもその “犬生”が終わりを迎え、再びイーサンに別れを告げようとしたベイリーに、「孫娘のCJを守ってほしい」という新たな<使命>が与えられる。イーサンや妻…

『ロケットマン』:エルトン本人が製作に関わり実績よりも過去や依存症に焦点を当てた最高に格好いい映画

自助グループでの告白から始まるエルトン・ジョンの半生。ミュージカルは基本的に個人の心象風景的な側面があると思ってたんだけど、ここで挟まれるミュージカルは少し違う。孤独や依存症を抱える本人が実際に見ていた幻覚とも思えるパートもあって、エルト…

『プライベート・ウォー』:伝説の戦場記者メリー・コルヴィン

戦場記者メリー・コルヴィン。伝説として神格化された彼女の姿を、PTSDや依存症を抱える一人の人間として描く。彼女が戦場へ向かうのは、使命感か強迫観念によるものか。これを見ても完全には分からないし、彼女自身も分からなかったんだと思う。一つの行動…

『ドッグマン』:主従関係というパワーゲーム

イタリアのさびれた海辺の町。娘と犬をこよなく愛する温厚で小心者のマルチェロは、質素ながらも「ドッグマン」という犬のトリミングサロンを経営し、気のおけない仲間との食事やサッカーを楽しむ日々を送っている。だが一方で、その穏やかな生活をおびやか…

『ボーダー 二つの世界』

スウェーデンの税関に勤めるティーナは、違法な物を持ち込む人間を嗅ぎ分ける能力を持っていたが、生まれつきの醜い容姿に悩まされ、孤独な人生を送っていた。 ある日、彼女は勤務中に怪しい旅行者ヴォーレと出会うが、特に証拠が出ず入国審査をパスする。ヴ…

『ジョーカー』

アーサーへの同情や共感を誘いながら、残り続ける解釈の曖昧さ。全てを見ればジョーカーを完全に理解できたと思う人間も、真似しようとする人間もいないはず。そんな観客への絶対的な信頼から成りたってる点に狂気すら感じる。発言にしろ創作にしろ誤解を招…

ニューウェーブSFの再来:『アド・アストラ』

人はなぜ宇宙を目指すのか。使命や好奇心だけでなく、地球に馴染めない人間の逃避先となった宇宙。様々な映画で断片的に語られてきたこの問題を、自己と向き合うことで改めて問い直す。過去の名作や読者と対峙し総括する。清算する。結論は別として、SF好き…

紛争/革命/テロリスト関連のオススメ映画12選

現代の世界情勢を特徴づけるものとして、国土領域内で多発する人種・民族・宗教間での紛争問題があげられる。「低強度紛争」や「難治性紛争」と名付けられる近年の内線型紛争。 しかし、その実態を掴むことは非常に難しい。 ここではそうした人種/民族/宗教/…

戦争/レジスタンス関連でのオススメ映画13選

戦争と映画。両者は互いに密接な関係をもって存在し続けてきた。例えば、戦時において映画はプロパガンダの手法として用いられたり、戦争で開発された技術がそのまま映画技術の高度化に貢献するなどしてお互いを補完しあった。その一方で、戦争が終われば映…

SFがさらに好きになる映画15選

「SF映画」このジャンルほど分類が難しいものはない。SFジャンルと決めかかって探していたらサスペンスやファンタジーやアクションの所にありました。なんてことはざらにある。そして、このジャンルほど評価が別れやすいものもない。面白かったと思った作品…

男の復讐は十人十色。これぞ復讐劇!!なおすすめ映画10選

「復讐からは何も生まれない」この言葉は事実かもしれないが、すべてを奪われたひとりの男が、誰もが恐れてしまうような巨大な悪に立ち向かっていく姿はなんとも魅力的に映ってしまう。すべてを失い、守るものが何もなくなったからこそ捨て身になれる時があ…

これだけは見ておきたい名作映画&皆で見たい良作10選+海外ドラマ4選

大型連休にはお家でゴロゴロ、みんなでワイワイ映画を見たいなー。そんなことを思いながら、ここではそんな連休中に見て欲しい私的名作&良作10選をご紹介。ついでに、長期の休みに是非見てほしいオススメ海外ドラマも。休み明けの日々のためにも素晴らしい映…

切ないけど何処か共感できるラブストーリー&夫婦の物語11選

ド直球で純粋なラブストーリーよりも、物語の片隅に語られる恋愛話の方が好きなのだけど。たくさんの映画に出会っていく中で、人それぞれ心に残っている直球恋愛映画みたいなものが出来てくるもので。自分のそんな映画たちを省みてみると、悲しくなるほどド…

見て損はない爽快アクション&ヒーロー映画10選

「アクション映画」レンタルショップで多くの分量を占めていることからもわかるように非常に数が多く、名作も多いこのジャンル。古今東西、今も昔も含めてオススメを選ぶとなると四苦八苦してしまう。ということで、ここではHDに慣れてしまった現代人にも見…

実話に基づく壮絶な人生映画12選

ある人物の生き様に大きな感銘をうけた!! 映画の面白さや醍醐味の一つとしてこうした経験が挙げられる。それは憧れや尊敬や模倣といったベクトルに姿を変えながらも、その個人の人生に対して大きな影響を与えうるものでもある。一本の映画によって自らの価…

家族っていいなーと泣けてくる映画14選

家族があるから人は強くなれる。 家族の支えや家族のために何かを達成できた主人公の姿ってホントに魅力的。泣ける映画は数あれど、「家族」をテーマにした作品って見終わった後、すごーく優しい気分になりますよね。ここでは、そんな「家族ってやっぱりいい…