『僕のワンダフル・ジャーニー』:ペットロスで苦しむ人達へ送られた物語

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50年で3回も生まれ変わり、最愛の飼い主イーサンとの再会を果たした犬のベイリー。続編となる今作でもその “犬生”が終わりを迎え、再びイーサンに別れを告げようとしたベイリーに、「孫娘のCJを守ってほしい」という新たな<使命>が与えられる。イーサンや妻ハンナとうまくいかなくなったママのグロリアが、突然CJを連れて出て行ってしまったのだ。

動物との関わり方が人それぞれで異なるように、ハルストレム監督からマンキューソ監督へと交代したことで、犬と人との描き方も少し変わった。
犬自身が存在理由を模索した前作に比べ、イーサンとの約束を守るため奮闘するベイリーは一直線。多少強引な人間ドラマも増え、正直前作の犬視点からポロッとこぼれる人間ドラマの塩梅が好きだったなと思ってた。
だけど、そんな愚直な展開の果てに、多くの人が渇望していたはずの理想の光景へ辿り着いてくれた。ここだけでもう大満足。おもちゃですら人間みたいな選択を始める昨今で、よくこの部分を見直さず貫いてくれた。

元々この映画の原作は、犬を亡くして悲しんでいる恋人に作者が語り聞かせた物語なんですよね。それを同じくペットロスに苦しむ人達へと書かれたのが原作小説。だから展開のあれこれは置いておいて、その願いは見事に成就したと思う。
自分の傍にいたのは猫だったけど、あの子達は本当に幸せだったのかという後悔は亡くなった今も感じるわけで、「一緒に過ごした何気ない日常が楽しくて幸せな時間だったよ」と言ってくれるこの映画を全肯定したい。

例えこれが犬に対して人間が抱く願望だとしても、映画を見た後で更に愛され大切に接してもらえる動物達は増えたはずだよね!そう信じてる!
二作品共に常に根底にあったのはイーサンとベイリーの絆であり物語。巡り会えた一生の家族であり相棒だった存在が更に愛おしくなってしまった。