2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『ドッグマン』:主従関係というパワーゲーム

イタリアのさびれた海辺の町。娘と犬をこよなく愛する温厚で小心者のマルチェロは、質素ながらも「ドッグマン」という犬のトリミングサロンを経営し、気のおけない仲間との食事やサッカーを楽しむ日々を送っている。だが一方で、その穏やかな生活をおびやか…

『ジェミニマン』:限られた劇場でしか鑑賞出来ない別次元の映像体験(日本での上映は三館のみ)

ウィル・スミス演じる伝説的暗殺者ヘンリーは、政府に依頼されたミッションを遂行中、何者かに襲撃される。自分の動きを全て把握し、神出鬼没で絶対に殺せないと評される最強のターゲットをヘンリーが追い詰めたとき、襲撃者の正体が秘密裏に作られた“若い自…

『空の青さを知る人よ』

山に囲まれた町に住む、17歳の高校二年生・相生あおい。将来の進路を決める大事な時期なのに、受験勉強もせず、暇さえあれば大好きなベースを弾いて音楽漬けの毎日。そんなあおいが心配でしょうがない姉・あかね。二人は、13年前に事故で両親を失った。当時…

『ボーダー 二つの世界』

スウェーデンの税関に勤めるティーナは、違法な物を持ち込む人間を嗅ぎ分ける能力を持っていたが、生まれつきの醜い容姿に悩まされ、孤独な人生を送っていた。 ある日、彼女は勤務中に怪しい旅行者ヴォーレと出会うが、特に証拠が出ず入国審査をパスする。ヴ…

『ジョーカー』

アーサーへの同情や共感を誘いながら、残り続ける解釈の曖昧さ。全てを見ればジョーカーを完全に理解できたと思う人間も、真似しようとする人間もいないはず。そんな観客への絶対的な信頼から成りたってる点に狂気すら感じる。発言にしろ創作にしろ誤解を招…

ニューウェーブSFの再来:『アド・アストラ』

人はなぜ宇宙を目指すのか。使命や好奇心だけでなく、地球に馴染めない人間の逃避先となった宇宙。様々な映画で断片的に語られてきたこの問題を、自己と向き合うことで改めて問い直す。過去の名作や読者と対峙し総括する。清算する。結論は別として、SF好き…